そもそも相続とは?

今日はそもそも、相続とは何か?
について記載します。

前回の小規模宅地等の
特例はわかりましたか?

そもそも、相続って
何か教えてくれる?

簡単に言うと亡くなった人の財産を
身内の人がもらうということです。

そのくらい分かるわよ!
ちゃんと教えて!

相続は民法の相続と税法の相続は

違いがあります。このあと詳しく

説明しますね!

 

 

相続(民法)の基礎

 

1.相続とは

相続とは、人の死亡によって開始し、その人(被相続人)に属していたすべての財 産や債務が被相続人と身分関係を有する者に承継されることをいいます。財産の承継 については、次のようなルールがあります。

  1. 相続する権利のある人が決まっています         ・・・・・・・相続人
  2. 相続人の中で優先順位が決まっています         ・・・・・・・相続順位
  3. 相続人の組み合わせで取り分が決まります      ・・・・・・・法定相続分
  4. 相続人によっては最低限の取り分があります   ・・・・・・・遺留分

2.相続人及び相続順位

1.基本

被相続人との親族構成に応じてその優先順位が決められており、次のように なっています。配偶者は常に法定相続人となりますが、他の相続人については先 順位の親族が存在しない、あるいは相続放棄した場合などにはじめて法定相続人 となることができます。

  1. 配偶者 +  第1順位「子」
  2. 配偶者 +  第2順位「直系尊属」(被相続人の父母、祖父母)
  3. 配偶者 +  第3順位「兄弟姉妹」

また、被相続人に近い人についての判定は次のとおりです。

相続人となる者(もらえる権利のある人) 相続人とならない人(もらえる権利のない人)
1.養子 1.離婚した元配偶者
2.先に子が死亡していた場合の孫(代襲相続) 2.婚姻関係のない内縁の夫・妻
3.元配偶者との子(実子) 3.配偶者の直系尊属
4.父母のいずれかが異なる半血兄弟姉妹 4.子の配偶者(婿・嫁)
5.男性の場合に認知した子(非嫡出子) 5.男性の場合に認知していない子
6.胎児 6.出産前に死亡した胎児
7.別居状態の配偶者 7.養子縁組していない配偶者の連れ子
8.他の者の普通養子となった実子 8.他の者の特別養子となった実子

2.相続欠格

相続人になれるはずだった者でも、次のような行為をした場合には相続人資格 を剥奪され、相続人になることができなくなります。これを「相続欠格」といい ます。

  1. 故意に被相続人や相続人を殺人又は殺人未遂により刑に処せられた者
  2. 詐欺や強迫によって、被相続人が遺言を書くこと、取消や変更を妨げた者
  3. 詐欺や強迫によって、被相続人に遺言を書かせ、取消や変更をさせた者
  4. 被相続人が遺した遺言を偽造、変造、破棄、隠した者

3.相続廃除

被相続人に対する虐待、重大な侮辱やその者の非行を理由として、相続人とな るはずの者の相続権及び遺留分権を剥奪することを「相続廃除」といいます。
この廃除は生前廃除と遺言による廃除が可能ですが、廃除を認めるかどうかは 家庭裁判所が判断します。

4.代襲相続

  1. 被相続人の死亡以前における相続人となるはず者の死亡(以前死亡)
  2. 相続欠格
  3. 相続廃除

これらにより相続権を失った場合には、その相続権を失った者の子に相続権が承継さ れます。これを「代襲相続」といいます。
代襲は、例えば祖父が死亡する以前に、自分の父が死亡していなければ祖父の 財産→父相続→父死亡→自分が相続という過程を経て、自分に財産が承継された はずという期待を保護するものです。
なお、第3順位の兄弟姉妹は、その子(甥・姪)までが代襲相続人です。

代襲相続

3.相続分及び法定相続分

相続分

相続人が複数いる場合における各相続人の相続財産全体に対する取り分を「相続分」といい、2分の1、3分の2など○分の○と表現されます。 相続分は、被相続人が遺した遺言に記載がある場合の「指定相続分」とその指定がない場合の「法定相続分」とがあります。

法定相続分

法定相続分は、相続人の組み合わせによって次の割合を基本とし、さらに 次のようなルールがあります。

  1. 複数の子や兄弟姉妹がいる場合、同順位間の相続分は均等(頭割り)
  2. 父母のいずれかが異なる半血兄弟姉妹の法定相続分は、全血兄弟姉妹の半分
法定相続分

4.遺留分

相続人に法律上保障された最低限の取り分を「遺留分」といいます。自分の財産は自分で自由に処分することができ、これは自らの死後における相続財産についても同様で す。しかし、例えば赤の他人に全財産を与えるなどという一方的な遺言によって、本来の相続人の遺産承継に対する期待が裏切られることのないように、遺産の取得の最低限 度を定めた制度です。

「すべての財産を(他人)へ相続させる」といった遺言が遺された場合を「遺留分が侵害された」といいます。このような場合に遺産を取り戻すことを「遺留分侵害額請求」といい、侵害を知った日から1年以内に請求することができます。請求がなされた場合には、受遺者は原則として侵害額相当額の金銭を支払うこととなります。

総体的遺留分の割合は次のとおりです。各相続人の個別遺留分は総体的遺留分に法定 相続分を乗じた割合となります。なお、兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分

5.具体的相続分

相続分には法定相続分のほかに「具体的相続分」といわれるものがあります。これ は、被相続人と特定の相続人とにおける生前の財産移転状況や財産形成の貢献度に応 じた相続人間の実質的公平を図ることを目的として法定相続分を加減する制度で、「特別受益」と「寄与分」の2つがあります。

特別受益

特定の相続人が、生前に被相続人から多額の財産をもらい受けていたような場 合(≒遺産の前渡し)において、相続開始時にその時点で残っている財産のみを 対象として単純に法定相続分どおりに分けると、相続人間に不公平が生じます。 この不公平を解消するのが「特別受益」の制度です。
具体的な遺産分割に当たっては、相続開始時の相続財産に、特定の相続人が受けた生前贈与財産を加えたものを基礎とし、各相続人の取り分を決めます。相続 開始時の相続財産に、特定の相続人が受けた生前贈与財産を加えることを「特別 受益の持戻し」といいます。

寄与分

被相続人の事業を身を粉にして手伝ったり、被相続人に対して献身的な療養看護をしたりして、被相続人の財産の維持や増加について特別に寄与した相続人が いる場合において、その相続人に相続財産の一部を先取りさせることで、生前の 貢献度と相続財産分配の実質的公平を図るのが「寄与分」の制度です。
具体的な遺産分割に当たっては、相続開始時の相続財産から特定の相続人の寄 与分を控除したものを基礎とし、各相続人の取り分を決めます。

6.相続の方式

相続には、単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3類型があり、相続人は相続 の仕方を選択することができます。なお、この選択は、原則として、相続開始後3ヶ月以内に行わなければなりません。

 相続放棄

被相続人に借金などのマイナスの財産が多い場合に、相続人の今後の生活を守るため、相続人には相続しない権利も与えられています。これを「相続放棄」といいます。これは、プラスの財産もマイナスの財産も何も相続しないというもの です。この相続放棄は家庭裁判所への申述によって行います。相続放棄をすると、その放棄者ははじめから相続人ではなかったことになりま すので、その子や孫への代襲相続もすることができなくなりますし、相続人や相 続分の構成も変わります。
なお、相続税の計算に当たっては、相続の放棄があった場合においてもその放棄がなかったものとして相続人及び相続分を判定します。

限定承認

被相続人のプラスの財産を限度として、その分のマイナスの財産を相続する方 式で、これを「限定承認」といいます。この限定承認は家庭裁判所への申述に よって行います。
借金は多いが生活基盤の自宅だけは相続したいなど、限定承認を有効活用すべ き場面は多いのですが、手続が複雑で時間がかかり、法定相続人が複数いる場合 には必ず全員で手続をしなければならないため、現状では限定承認を行う人は大変少ないようです。

単純承認

上記の相続放棄も限定承認もしない場合には、プラスの財産もマイナスの財産 もすべて相続することとなります。これを「単純承認」といい、世間では「相 続」というとこの単純承認を意味することが多いようです。
単純承認をする場合には特に手続きは不要ですが、相続人が次のような行為を 行った場合には単純承認とみなされ、相続放棄や限定承認ができなくなります。

  1. 相続財産を処分した場合
  2. 相続財産を隠した場合
  3. 相続財産を私(ひそか)に消費した場合
  4. 限定承認のための財産目録に、悪意で財産を記載しなかった場合

7.遺産分割協議書

遺産分割協議とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた財産について、相続 人全員で話し合い、新たな所有者や所有割合などを決めていくことをいいます。
協議がまとまった際には、「遺産分割協議書」を作成し、各相続人が署名・押印(実印)していきます。

8.遺言

 遺言とは

遺言とは、生前に自分の死後における身分上のことや財産上のことについての 意思表示を行い、その者の死後にその効力が生じるものをいいます。遺言があれ ば、法定相続人や法定相続分に優先して相続が行われることになります。
遺言によって遺産を承継させることを「遺贈」、遺贈により財産を受ける者を「受遺者」といいます。

 遺言の種類

遺言はその性格上、意思内容の確定を厳格にして他の者のねつ造を防ぐ必要が あることから、一定の方式によらなければなりません。
「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」などがありますが、実務上は、基本的に自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人役場で作成する「公正証書遺言」がよく利用されています。

検認とは

検認とは、相続人に対して自筆証書遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の 内容を明確にして偽造、変造を防止するための手続です。遺言書の有効や無効を 判断する手続ではありません。
遺言者の死亡を知った後、自書証書遺言書の保管者又はこれを発見した相続人 は、家庭裁判所に「検認」を請求し、相続人全員の立会いのもと遺言書を開封 し、遺言書の内容を確認していきます。
*法務局において遺言保管制度を利用している場合には、検認は必要ありません。

9.贈与

贈与とは、生前に当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約をいいます。分かりやすくい えば、「○○をあげます」「ありがとう、もらいます」という意思表示で贈与が成立 します。また、財産をあげた者を「贈与者」、もらった者を「受贈者」といいます。
実務上は、次世代への財産の先渡し、遺産分割の事前対応、相続税軽減等を目的と して行われることが多いです。

10.祭祀財産

祭祀財産とは系譜(家系図、過去帳など)、祭具(位牌、仏壇、仏具など)、墳墓(墓石、墓碑など)をいい、民法では他の一般的な相続財産とは区別して① 被相続人 が指定した者、② 地方の慣習によって祭祀を主宰すべき者、③家庭裁判所の審判等の 順序で承継者を定めています。
祭祀財産は、通常の相続財産との関連で次のような特徴があります。

  1. 祭祀財産の承継者に一般財産の遺産分割に当たっての特典や優遇はありません。
  2. 祭祀財産は、相続分や遺留分の計算に当たって、相続財産には含まれません。
  3. 相続放棄をしても祭祀財産は承継することができます。
  4. 原則として、祭祀財産には相続税はかかりません。

11.相続手続き(名義変更手続き)

被相続人が所有していた各種財産について、遺産分割協議や遺言に基づいて、相続人等の新たな所有者へと名義の変更し、相続人等が自由に処分したり、使えるように する諸手続です。
法務局における不動産の名義変更登記、金融機関における口座解約などが代表的な 相続手続きとなります。

まとめ

相続には順位が有ること。

  1. 父母
  2. 兄弟姉妹

配偶者は常に相続人ですが、この順位によって相続人が決まるということ。

プロフィールでも紹介しましたが、

相続人が10人の兄弟姉妹(代襲相続人を含む)で1人妹に全財産を相続させたいと弁護士に相談したら、この妹を養子にする手続きをしてくれたとのこと。

そうすると、この妹が順位3.の兄弟姉妹から順位1の子に変わります。

これで、順位が1の子だけになるので、あとは何もしなくても妹1人で相続です。

間違えではありません。そのとおりです。

ただ、税金を考えた場合には養子にするのではなく、この妹に全財産を相続させる遺言書を書けばよいのです。
10人とも相続順位は3のままですが、順位3の兄弟姉妹は遺留分侵害額の請求権がありません。

養子でも、遺言でも指定の妹1人に相続させることは可能です。

でも、税金がかからない範囲の基礎控除が養子では6,000万(現在は3,600万)、遺言では1億5,000万(現在は9,000万)と控除額には雲泥の差があります。

対策をするのであれば、部分的にではなく全体最適になるように相談することをお勧めします。

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